鋳鉄の溶接で、現在もっとも代表的に施工が行われている、「冷間溶接」につい
て、良好な溶接結果を得るためのコツを説明します。
a)鋳鉄の冷間溶接用溶接棒としては、SN、EN、FN 等を使用します。
b)予熱は原則として必要ではありませんが、適當な予熱は鋳鉄の溶接には効果的
です。一般には 150℃程度の予熱を行います。
c)SN、EN を使用する場合の開先角度は 70~80°とし、FN の場合は 80~90°
にします。また厚い品物の場合は開先角度が 40~60°で底面の R が 4~6mm 程
度の U 型開先をとります。
d)溶接電流は、交流または直流正極性を使用します。
e)溶接電流は、溶著金屬の母材への溶込みおよび熱影響部を極少にするために、
できるだけ低電流を使用します。しかし開先底部の溶接の場合はやや電流を高
くして、溶込み不足がないように注意します。
f)溶接棒の保持角度は進行方向に対し 45~60°に保持し、アークをできるだけ
溶著金屬上に出すように心がけます。
g)アーク長はできるだけ短く保ちます。
h)ビードはすべてストレートビードとし、ウィービングは極力避けます。
i)連続溶接は避け、1 回のビード長は 50mm 位にとめ、各ビード毎にピーニング
を確実に行います。
j)溶接法は、飛石溶接法または対稱溶接法を採用し、溶接部の局部的な過熱を防
止します。
k)溶接途中で、ワレおよび気泡を発生した場合はその箇所を**にハツリ取って、
改めて溶接を行います。
l)亀裂部補修が大きい場合は、前記予熱とバタリング法、スタッド溶接、カスガ
イ埋込みなどを併用すれば効果的です。